地球生活

この物語はフィクションです。

2021.07.23 馴染めなかった学校行事

 

 

昔からそうだった。

学芸会、音楽発表会、運動会、体育祭、文化祭、

周りが盛り上がれば盛り上がるほど、反比例してわたしの気持ちはどんどん下がっていった。

そのときは理由がわからなかった。なんだかわからないけど、面白くなかった。

周りの友達と一緒にはしゃげばきっと楽しいのはわかっていた。学生時代には何度も経験する学校行事。もちろんみんなと一緒に、なんなら人一倍張り切って、"一生懸命、力を合わせて頑張って"最後には泣いたこともある。

そのときには「よかった、今回は上手くできた」と思っていた。

 

サプライズも苦手だ。リアクションに困るから。

「これはわたしを喜ばせようとサプライズをしてくれているな」と勘づいてしまった瞬間から、頭の中ではものすごい速さでリアクションのシミュレーションが始まる。

「どんなセリフを言えばいいんだろう」「全然気づいてなかった風にしたほうがいいのかな」「いつもより大きめに声出した方が」

すべてがプレッシャーになってのしかかる。

このシミュレーションの一瞬で、本当に自分が嬉しいのかどうかを感じる間も無く、感情が理性に上書きされてしまう。

周りの感情についていけずに自分だけが置いていかれる感覚が苦手なのだ。

 

 

みんなが喜んでいる。みんなが憤りを感じている。

純粋に楽しむことも出来ず、怒ることも出来ない。

また、わたしだけ置いていかれる。

 

 

おわり